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日別アーカイブ: 2015年9月14日

数学は役に立つか

数学を勉強して生きる上で何の役に立つのか、という問題は忘れたころにひょこっと出てきます。音楽家であり日本女性初の国際数学オリンピック金メダリストの数学家でもある中島さち子さんは数学をやっていると大きく三つ、役に立つことがあると言っています。

①一つ目はいろいろな夢や目標への道を『見える化』をしてくれること
夢の実現までには、毎日、何をどれくらいこなせばよいのかが数字で見えると、実現がぐっと近づく感じがしますよね。

②二つ目は、問題の本質や見極める力や感性が育つこと
数学の『難問』は、そもそも結局何が問題化、何を証明すべきかが、わからないことが多い。そのとき、『問いの本質』『謎の正体』をじっくり考えなければいけない。そのうえで方向性を見定めつつ何度も試行錯誤をする必要があり、その体験の過程で直観力や問題解決力が大きく育ちます。

③三つ目は、数学は建築やインテリアや身の回りのあらゆるものの背後に隠れているということ
絵画の美の背後には射影幾何学や黄金比、さまざまな数学や数字の遊びがあります。

確かに算数・数学の実用的な知識として役にたつのは小学生で習う計算ぐらいかもしれません。①の『見える化』に必要な知識は一部中学の内容が含まれるかもしれませんが、ほとんどが小学生で習った内容で事足りると思います。

中学生になって『数学』になり、より抽象的な内容になると職業として選択しない限り知識として生きていくうえで役に立つことはほとんどないかもしれません。
しかし、文章問題や図形、証明問題等を解くうえで問題の本質を見極めないと解けないこと、ひとつの方法がだめなら次の方法、と何度も試行錯誤しなければならないこと、その体験が生きていくうえで必要な問題解決能力を育ててくれます。

知識は使っていないと忘れますし忘れて全然問題ないですが、一度身についた思考方法は常に使われるので忘れることはありません。
以前に見たテレビの番組でフィンランドの小学生の先生は『知識を教えるのではない。勉強の仕方を教えるのだ』と言っていたのが印象に残っています。

中島さち子さんは最後に次のように述べています。
『数学で大事なことは、とにかく自分の頭と心を使い自分なりペースで自分なりに向き合うこと、間違いや失敗を恐れず挑戦すること、心と体を解放すること。』